よく晴れた7月のある日。青空の下、一面に広がる田んぼを横目に車を走らせ、南相馬市小高区にある「表現からつながる家『粒粒』(以下、粒粒)」に向かった。玄関を開けると、朗らかな笑顔の女性が迎えてくれた。彼女は粒粒の家主であり、marutt株式会社の代表の西山里佳さんだ。
粒粒は、クリエイティブに携わる人だけでなく、子どもから大人までさまざまな人が立ち寄る、地域にひらかれたデザイン事務所。仕事場でありながら、気軽にどんな人も参加できるZINEづくりワークショップやマルシェ、デザイン相談会などが行われてきた。
現在は粒粒を拠点に、デザインを通してさまざまな仕事を進める西山さんだが、出身は富岡町。デザイナーになるため上京し、グラフィックデザイナーとしての経験を重ね、2018年南相馬市にJターンした彼女に、浜通りで活動を始めた理由やこの場所で積み重ねる「表現」について伺った。