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【リポート】福島浜通りの未来を切り拓く!第3期フェニックスプロジェクト採択者決定

【リポート】福島浜通りの未来を切り拓く!第3期フェニックスプロジェクト採択者決定

福島浜通りでは次世代の若者たちの起業および新規事業活動を福島県浜通りの現若手リーダーたちが全力で支援する「HAMADOORIフェニックスプロジェクト」と呼ばれる支援活動を実施している。3回目となる今回は、従来にも増して実行委員会が期待する事業が集まった。その詳細をリポートする。

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若き起業家を支援し、未来をつくるプロジェクト

「HAMADOORIフェニックスプロジェクト」は、一般社団法人HAMADOORI13と、公益財団法人東日本大震災復興支援財団によって、福島県浜通り地域で起業する若者を支援し、同地域での新しい産業創出と移住・雇用の創出を図ることを目的に、2021年4月に発足した起業家応援事業だ。

補助対象者の要件は福島県浜通りにて新規起業もしくは新規事業活動を行う個人や事業者で、その代表者が1989年4月2日以降の「若者」と定義している。

採択される事業には、「革新的なアイディアや技術を用いて新しいビジネスを展開する事業」「浜通りの社会的な課題をビジネスを通じて解決することを主とする事業」そして「事業展開の中で経済性のみならず社会性を追求する事業」が求めら、各事業ごとに最長3年間、最大1000万円が補助される。

第一期では4組5名、第二期では4組4名のプロジェクトが採択され、現在順調に事業を継続・拡大させているという。そんなフェニックスプロジェクトの第3期採択者への認定書授与式が双葉町産業交流センターで開催された。さて、未来の浜通りを切り拓く事業と顔ぶれは…。

「伝統×先端」を掛け合わせて、大熊町の特産品キウイを復活します

原口哲也 震災により一次産業が失われた大熊町で、震災まで町内でキウイ栽培をしていた果樹農家の伝統技術と、最先端の土壌改良技術、加工技術、ブロックチェーンを用いた販売戦略を用いて、町の特産品として愛されたキウイを栽培・販売し地域の一次産業を再生する事業です。キウイは収穫まで3年と長い道のりですが、根気強く育て、特産品キウイを必ず復活させます。

PROFILE
原口哲也(はらぐちてつや)さん 和歌山大学システム工学部4年生。全国20ヶ所以上の農場に出向き、2022年度は1年間休学し、和歌山県有田にてみかん栽培の研修を受ける。また、栽培だけでなく、ふるさと納税での販売業務も請け負い、プロジェクトメンバーとして携わったクラウドファウンディングでは370万円を達成する。福島県大熊町ではおおくまキウイ再生クラブと連携し「キウイ再生プロジェクト」立ち上げ、学生30名を呼び町内での活動を行う。

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町に必要とされる「リメイクデニム専門店」を富岡町につくります

小林奨 YONOMORI DENIMは、「過去と未来をつなぐ拠点」を掲げ、店舗販売、イベント運営、ワークショップの開催、ツアー・移住体験の受け入れ、SDGsや環境教育等を行う「まちづくりに取り組むアパレル店」として、町や人に必要とされるお店づくりを目指します。廃棄寸前のデニムを活用したLevi’s501リメイクデニム専門店をつくります。

PROFILE
小林奨(こばやししょう)さん 富岡町出身。中学3年で被災。専門学校で、ファッションに関する知識を幅広く学び、コムサメン伊勢丹浦和店で店長を務めた。その後、人のために何かしたいと一旦いわき市で地域に根差した木材会社で務め、故郷のために何かしたいと富岡へ戻ることを決意し、YONOMORI DENIMの開業に尽力。

自然の力でお酒を製造する蒸留所を川内村立ち上げます 

大島草太 フェニックスプロジェクトでの事業名は「川内村にて自然と人間の関係をテーマに世界へ発信する蒸留酒造り」。自然と人間の関係をテーマに、フルーツ王国ならではの果物や森林資源を活用した蒸留酒を福島県川内村にて製造します。高原に位置し、水資源が豊富な川内村は、全戸井戸水を使用しています。使用する水は地下水を汲み上げ、蒸留所内の電力は太陽光発電、蒸留器の動力には木質バイオマス蒸気ボイラを使用し、自然の力でお酒を製造する仕組みを構築します。

PROFILE
大島草太(おおしまそうた)さん 栃木県出身、福島大学卒。在学中に「Kokage Kitchen」を開業、クラウドファンディングで入手した移動販売車で事業開始。田村市での地域おこし協力隊、クラフトビールの醸造業を経て、現在は「株式会社Kokage」を設立。高校生大学生と共に立ち上げたフルーツハーブティーブランド「Tea & Things」の運営や、オフグリッド型蒸留所の立ち上げ準備等、活動の幅を広げている。

南相馬市に日本酒×クラフトビール醸造所をつくります

立川哲之 「"福島の沿岸に田畑を増やす"日本酒×クラフトビール醸造所設立事業」というのがフェニックスプロジェクト認定の事業名。"異文化との境界線を溶かした日本酒"をコンセプトに酒造りをする「ぷくぷく醸造」が南相馬市小高に醸造所を立ち上げる事業です。地域に田畑を増やしていくことを目指し、浜通りのお米や素材を使用した酒造りをしていきます。

PROFILE
立川哲之(たちかわてつゆき)さん 学生時代に復興支援で東北に通う中、つくば市で「食と酒 東北祭り」を立ち上げる。(株)ユーグレナを経て、宮城県閖上の"佐々木酒造店"で酒造りを3年学び、2020年には南相馬にて"haccoba"を初代醸造責任者として設立。2022年、ファントムブルワリー"ぷくぷく醸造"を南相馬に立ち上げる。その傍ら、東京駒形の"木花之醸造所"の技術顧問も務めつつ、京都芸術大学の非常勤講師に就任し「クラフトサケ学」を開設。

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南相馬市に被災市町村を中心としたコミュニティを育てます

根本李杏奈 現在、地域では移住者と出身者が共に生活していますが、市町村を跨いだコミュニティ形成はまだ不十分です。このプロジェクトでは、地域のプレイヤー、場所、そしてコンテンツを結びつけた中規模の有料イベントを継続的に開催します。また、イベントではコミュニティマネージャーを設置することで、参加者同士の新たな繋がりを生み出します。これにより、気軽に遊んだり、悩みを相談できる人との関係構築を促進し、ただ”住む”のではなく、安心して”暮らす”ことができる地域を作り出すことを目指しています。

根本李杏奈(ねもとりあな)さん 中学3年生で震災を経験し、地域の課題を映画で解決できないかと思い、日本大学芸術学部映画学科へ進学。ADKクリエイティブ・ワンで、イベントやプロモーション領域を担当。2021年2月にUターンし、地域の100の課題から100のビジネスを創出する小高ワーカーズベースに参画したのち、2023年秋より被災12市町村を中心とした地域のコミュニティを育てる興行事業をスタート。

大熊町を拠点に客とトレーナーをネットで結ぶ新しいジムを

駒形真央 事業名は「ネットジム(ジム業界のウーバーイーツ)
」。今までのトレーニング業界は、クライアント(お客様)は施設に行って会員登録をし、トレーナーも施設と契約をして、というふうにクライアントとトレーナーを繋ぐ媒体が施設やジムといった場所で繋がれていました。 今回のネットジムというのは、クライアントとトレーナーを繋ぐ媒体がシステムやアプリになります。 ネットに登録することによって色々なトレーニングをオンラインで受けられるようになり、また色々な場所で受けられるようその時のクライアントの状態に合わせてマッチングすることができるようなシステムを作ります。

PROFILE
駒形真央(こまがたまお)さん 都内でコンディションにングトレーナーとして活動して8年。中央大学のチームトレーナーや、アスリートのパーソナルトレーニングの指導という経験をもち、一方で市⺠マラソン大会のストレッチ指導や、高校の授業などフィールドは多岐にわたる。8年目で約1万件のセッション。 「過去の経験や、活動していく中で自分のやりたいことが見つかり今回事業の提案をさせていただきました」

富岡町に幼児用おもちゃのサブスクリプションサービスを構築

中山駿 「おもちゃでつなげる、ひとをつなげる」をキャッチフレーズにした幼児用玩具のレンタルサブスクリプション事業です。0歳から6歳程度までのお子様のいるご家庭や子ども向け施設に対し、定額で月毎に、玩具をレンタルさせて頂きます。お子様、利用者様の年齢や趣味嗜好をお聞きし、お客様ごとにパーソナライズされた玩具のプランでお子様の成長の手助けをさせて頂きます。親子の大切な時間をさらにドキドキ、ワクワクさせられるよう事業に取り組んで参ります。

PROFILE
中山駿(なかやましゅん)さん 富岡町出身。株式会社ニココ 代表取締役。大学1年生時に、富岡町の実家で東日本大震災を経験し、避難所生活等を体験。大学卒業後、地元の復興を志しUターン就職。教育業界、再エネ業界に従事。4年前より玩具のサブスク事業に注目し、投資家探しや事業準備を行い、2023年2月に株式会社ニココとして、幼児用玩具のレンタルサブスクリプション事業「コネキン~Connect Kinder~」を開始。

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大熊町を拠点に国内外へ東北の食材を届けます

山崎健太 ritaは福井県にある和牛ひつまぶしのお店です。今後、浜通りに拠点を移し福島県の食材や工芸品を使った商品開発を行い、EC販売やポップアップイベントを実施します。まずは自分たちが全国に足を運び、現地の方々と交流を図り、浜通りを知ってもらうこと、興味を持ってもらうこと。そして2年後を目標に双葉町に実店舗の出店を予定しています。浜通り、そして双葉町に未来を感じて移住を決めました。この場所の魅力をたくさんの方に届けられるように1つ1つ丁寧に取り組み、文化として地域に根付いていく事業を創ります。

PROFILE
山崎健太(やまざきけんた)さん。福井県生まれ。20歳で上京し飲食の基礎や料理を学ぶ。2015年にイベント団体を立ち上げスポーツイベントや音楽フェス、ファッションショーなど全国各地で30回以上開催。2019年に地元福井県越前市にて和牛ひつまぶしと肉盛りのお店『rita』を創業。営業期間のほとんどがコロナ禍でありながら、福井県ステーキランキングで1位を獲得。Googleの口コミでも高い評価を得るなど、地元の方に愛されるお店に成長させた。2023年福島県に移住し、(株) rita japan を新たに設立。

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上記以外に採択されたのは中村泰貴さんの「音声変換技術を開発し、広野町でビジネスを展開」という事業、佐藤桃香さんの「大熊町を拠点に国内外へ東北の食材を届ける」という事業を加えた10事業となった。

ここから事業をグロースさせ、さらに継続させていくことは寒暖ではないだろう。認定書授与式にあたって、HAMADOORI13の吉田学代表が「未来の福島、浜通りをつくってください」という言葉が印象的だった。